シナリオ「名も無き者達の夢」

 今日は、「深淵CON」スタッフのこたく氏がGMで以下の様なPC達になる。

ジェラード・コーネリアス
プレイヤーは「深淵CON」代表の印南氏。30歳男性。放浪の騎士。運命は「帰還を待つ者」「依存症(片手半剣)」。名を名乗らぬ魔族の下僕であり、その魔族の命により封印を解きに現れる。
ハモンド・ターシャン
プレイヤーはS氏。27歳男性。旅する夢占い師。運命は「遠い声」「親が罪人」。お人好しの下級貴族だった父がスケープゴートに使われ獄死。それを見た彼は「人の秘密を握る事ができる」という事で夢占い師になった。
ボウマン
プレイヤーは俺。25歳男性。舞台になる村に住む狩人。運命は「過去を失った者」「呪われた魔剣」。という事で、記憶喪失で何故か魔剣*1の所有者。自分の名前が分からないので、居着いた村の者達からは「弓野郎」という意味で「ボウマン」と呼ばれる。


 今回はボウマンが森の中で記憶喪失の少女を発見し、ハモンドが顔の皮を剥がれた死体を発見した事から始まる。
 村で少女をどうするか話し合っているところにジェラードとハモンド登場。ハモンドが死体を見つけたという話をしたので村は騒然。しかし、旅人のようなので「旅人が死ぬのはいたしかたない」という事で落ち着く。だが、ハモンドが泊めて貰った家で「世の中には顔を剥いで人に化ける魔物がいる」という知ったかぶりをしたため、翌日村ではお互いの顔を引っ張り合うという朝の挨拶が流行る*2
 さて、PC達は少女の記憶がないのは何故かを確かめるためハモンドに夢占いをして貰う事にする*3。すると、この少女は商人である父と旅をしていたが3体の化け物に襲われたという事が判明する。村の近くに化け物がいる事を放置するわけにはいかない。という事で、村長と相談の結果、化け物退治に行く事になる。退治に行くのは戦闘力のあるジェラード、弓で戦闘補佐ができるボウマン、魔物について詳しいハモンド、そこに行けば記憶が戻る気がすると言う少女。良識ある人間としては子供を連れて行くのはマズイとは思うが、戦闘力のある者達が守ればいいと言う事で好きな様にさせる。ほら、連れてかないとセッション的にもマズそうじゃん。
 そして魔物達のいる場所に到着。そこにいた魔物は「無面の影」。こいつ等は特殊能力で犠牲者の名前を奪い、顔の皮を剥いで身につける事で本来の力を取り戻せると信じ込んでいる下級魔族。


あれ?ハモンドは知ったかぶりしただけなんだけど、実は真相言い当ててた?


 皮を被る化け物ねぇ。「嘘から出た真」とはこの事だ。
 ちなみに、少女は無面の影に名前を奪われたので記憶の一部が失われていたようだ。そして、顔のない死体は少女の父親で、名前と顔をこいつ等に奪われたというのが事件の真相だった。
 で、戦闘。いや〜、やっぱ騎士は強いねぇ。普通の状態でも強いのに縁故振って判定にボーナスついた片手半剣使ってるからさらに強い*4。達成値がコンスタントに25とか行くのって間違ってないか?
 で、戦闘ではボウマンも魔剣のチャクラムを使う。チャクラムは命中して刺さるが、それだけで倒す事はできず。仕方がないので戦斧を抜いて接近戦をする。


俺「戦斧で攻撃。達成値は9です」
GM「当たりません」
俺「じゃぁ、寿命1年使ってチャクラムの縁故を使います。チャクラム返せこの野郎!達成値14」
GM「あぁ、それは認めざるをえませんな。当たりです」


 とまぁ、こんな感じでボコボコ殴って3体いた無面の影を退治する。
 さて、無面の影がいた場所はちょっとした洞窟になっていた。そして、その洞窟の奥には魔族の力を弱めるための封印があった。と、ここで夢歩き*5
 ここに封印されていたのは魔族の力。魔族の名は「小鳥の太守オイマーク」。そしてこの魔族はジェラードの主人であり、ボウマンを深淵の無から作り出した者であった*6。そのオイマークの力の一部がジェラードとボウマンが来る事によって解放された。


オイマーク「一つ望みを叶えてやろう」
ジェラード「あなた様がなさりたい事が我が望みです」
オイマーク「ならばその少女を守ってゆくが良かろう。それが騎士の誉れであろう」


オイマーク「一つ望みを叶えてやろう」
ボウマン「ならば人に危害を加えないでください*7
オイマーク「我が望みは我の力を取り戻す事のみ。お前の意にそぐわぬ事はせぬと約束しよう」


 という事で、魔族の力は解放されたものの、非常に穏便な結果になる。


しかし、一人だけパニック状態になっているヤツが!


 そいつの名はハモンド・ターシャン。彼は、ジェラードとボウマンによって魔族の力が解放された事は理解したが、夢歩きでオイマークと喋る事はなかった。なので「魔族の力が解放された。とんでもない事が起きた」と解釈。いやまぁ、ハモンドの立場だったらそう解釈するのが当然なのだが、残念な子だなぁ。(笑)
 さて、結末。
 ハモンドは封印の洞窟から一人パニック状態で逃走。近くの有力貴族に魔族の力が解放されたと進言するものの「コーネリアス卿に限ってそんな事をするわけはあるまい。罪人の子は所詮嘘つきか」と取り合って貰えない。そして、魔族を解放した者達を倒すと決意を新たにする。まぁ、一番戦闘力がない人物なのでジェラードにもボウマンにも返り討ちにされちゃうだろうけどね。ホント、最後の最後で残念な子になってしまったなぁ。(笑)
 一方、ボウマンと少女はこのまま村で生活していく事になる。そして、オイマークの命に従い少女を守るため、ジェラードはその村の領主となる。
 という事で、NPCの1人が死んで発見された事とハモンドが残念な子になってしまった以外はハッピー・エンドとして収まった。封印されていた魔族が聞き分けのいいオイマークではなく、他のヤバイ魔族だったら大変な事になっただろうけどねぇ。
 ちなみに、俺は「叙事詩に残る一撃*8」を最後まで持っていた。ホントは「魔族の力を解放するジェラードと対決する」or「魔族そのものを倒す」ために取っておいたんだが。使う機会がなくてちょっと残念*9。残りの寿命を全部達成値上昇に突っ込んで「作られた生命体であるボウマンがボロボロ崩れ去りながら魔族の復活を阻止する」とかいうオチもカッコイイかなぁと思っていたんだけどねぇ。
 そうそう、「小鳥の太守オイマーク」が何故ジェラードに少女を守れといったのか。これにはちゃんとした理由がある。オイマークは人間だった頃、11歳だった妹を失っている。そのため、10歳位の少女を見ると保護したいと考える様になるのだ。このセッションは「叙事詩に残る一撃」を使えなかったのも残念だったが、一番残念なのは


俺達を翻弄した魔族が単なるシスコンだった事。


 おあとがよろしい様で。

*1:今回はチャクラム型

*2:顔の皮が剥がれないかを確かめるため。ハモンドは「化け物なら皮は剥がれる」と言ったため

*3:この世界の夢占いは世界の深淵領域に飛び込んで真実を見るというものであるため

*4:「深淵」には「縁故」というデータがある。人物や物品に対して縁故を結び、その強さを数値で表す。そして寿命を1年削る事で縁故に振った数値を判定の修正として足せる

*5:「夢歩き」は白昼夢等でGMがプレイヤーに情報を渡すルール

*6:という事で、ボウマンは普通の人間ではなく、魔族に作り出された存在であると夢歩きで判明する。記憶がある以前は元々存在しなかったので、記憶喪失みたいに過去が分からなかったのだ

*7:ボウマン的には村で狩人として暮らしていく事以外に望む事は特にないので

*8:物凄いダメージを叩き出すダメージカード

*9:手札のダメージカードを組み合わせると「防具完全無視でダメージ60点」を叩き出せた。人間なら確実に死ぬし、中級以下の魔族だったら一撃で倒せる位のダメージ