このゲームの良い点と悪い点

 「とらぶるエイリアンず」は確かに「和製"PARANOIA"」だ。ただ、"PARANOIA"と違ってミッションが達成可能な点が大きい。とりあえずミッションを達成すればいいという点で殺伐とせずに済む。この点は好みだろうが*1、殺伐感が減っているおかげで間口は広いと思う。
 ただまぁ、遊んでみて問題点は色々見えたけどね。
 まず、データが多過ぎる。確かに「表の顔」「エージェントとしての正体」「バレたらマズイ正体」があるのはいい。が、それぞれで能力を取得できるのでデータが多くなる。まぁ、このゲームを遊ぶのはゲーマーだろうから、把握できるだろう。だが、PC作成がえらく面倒臭い。この辺、もっと整理できたと思う。
 次に問題なのは「バレたらマズイ正体の能力は使わない」という点だ。バレたらマズイ正体の能力を使ってくれないと正体を見破る情報はスキャン判定*2の結果だけになるのだが、スキャン判定にも回数的に限界がある。なので、正体の能力を強制的に使わせるために「プレロールドPC*3で、シナリオに能力を使うシーンを組み込む」という事をしないと厳しい。
 次に判定。このゲームは「2d10の合計がスキル値以下で成功」と「2d10+修正が目標値以上なら成功」という2種類の判定がある。なんで1つに統一しなかったんだろう?昔はこういう風に2種類以上の判定が混在するゲームは多かったが、それは良くないと言われ続けて来ただろうに。なぜその教訓を生かさないんだ?
 最後に経験点。このゲームの経験点はPCではなくプレイヤーに入る。まぁ、F.E.A.R.のゲームにはそういうのがいっぱいあるので、それはいい。それならF.E.A.R.ゲーの様にレコード・シートを作ってそこでしっかりと経験点を計算し、経験点を書き込み、GMのサインを得る様にするべきだ。このゲームにも「経験点ログ・シート」という物はあり、「経験点を書き込む」事はできるし「GMのサイン」の欄もある。が、「経験点を計算する」という欄はない。これは良くない。何故ならば、経験点が正確に算出されているか確認できないからだ。「余ったスペースに困ったので作ってみました」的な「お手紙」という欄はなくし、計算に使える欄を作るべきだ。他ゲームの良いメソッドは取り入れるべきだろう。
 悪い点が色々目に付きはしたが、それでも"PARAOIA"が和訳されていない現状では日本語で読める「腹の探り合いTRPG」はこのゲームだけだ*4。で、"PARAOIA"よりも殺伐とはしない。メモが飛び交うゲームなので時間の都合上複雑なシナリオを用意しなくてもいい。なので、GMに優しい。
 こういう点をふまえて


「ルールをもっと整理して第2版を作って欲しい」


と思うゲームではあるね。正体の能力をシナリオに絡める都合上PCはプレロールドになるだろうが、GMやってもいいかなぁとは思う。多分このゲーム、GMとなって高みの見物するのが面白いだろうからね。

*1:俺は"PARANOIA"の「スケープゴートを作らなくちゃ!」っていうブラックさは大好きだが

*2:相手の正体を特定する情報の一部を手に入れる判定

*3:PC作成の時間を省ける点も良い。ただまぁ、GMの負担は大きくなるが

*4:ちなみに、海外ゲーでは"PARAOIA"以外にも「プリズナーNo.6」を遊ぶGURPS物もあったりする