ジョニー・マッド・ドッグ

 渋谷にある映画館「シアターN渋谷*1」は、水曜日は1,000円で映画が観れる。という事で、映画を観に行く。観た映画は「ジョニー・マッド・ドッグ*2」。内戦で混乱するアフリカを舞台*3にした少年兵の話だ。感想、


こいつは凄い!


 この映画は一応フィクションだ。しかし、限りなくノンフィクションに近い。エンターテイメント性も強調されず、ドキュメンタリー性も強調されず、ただただ少年兵の“日常”を描く。
 さらに凄いのは配役。少年兵役の少年達は、かつて少年兵として戦っていた本物の元少年兵。なので、演技では絶対に出せないリアリティを見せつけてくる。あのオーラを演技で出せたら、アカデミー賞なんか「呼吸する程度」の労力で取れるだろう。
 さらに、生と死、殺戮と誕生、絶望と希望、静と動といった対比が上手く盛り込まれている。この構成の妙もなかなか無視できないんじゃないのかな。
 この映画を観て思うのは「少年兵はやはり“子供”なんだ」という事。おそらく彼等は「いい子」なのだろう。ただ、彼等を取り巻く環境で言うと、「反政府組織という家族の中で、上官という親の言う事を聞いて、ゲリラ兵という教育を受けた、いい子」なのだ。だから、上官の言う事を素直に聞いて、戦闘や掠奪を行う。少年兵は、赤ん坊かそれに準じる年齢の時に誘拐されたりして、物心が付いた時にはゲリラ組織の中にいる。そして、10歳位になると銃を持たされる。それが彼等を取り巻く世界だ。なので、その世界に沿って「子供らしく」生きていく。それが少年兵なのだろう。
 この映画は思っていた以上にいい出来だった。観終わった後に色々と考えさせられる映画ではあるが、お奨め。観に行く機会を作って行く価値はあるよ。

*1:http://www.theater-n.com/

*2:http://www.interfilm.co.jp/johnnymaddog/

*3:フランス資本でありながらリベリアで撮影した上に英語劇なので、リベリア内戦がモデルだと思われる