シナリオ「冬越しの巫女舞」。別名「神前フードファイト」

 モリオンの丘にある辺境の村。ここでは山に住む冬の女神を山に返す祭りが行われようとしていた。そして、その儀式を執り行うために中央から派遣されてきたPCの司祭ジェロード。彼は村の巫女であるマーリア*1と共に2日後に迫った儀式の準備をしていた。
 司祭ジェロードはこの村に来るのは初めてである。この村の祭りは毎年将来有望な下級司祭が送られる。そして彼らは儀式を滞りなく勤めて帰還すると、エリートコースを歩むのである。そう、ジェロードは単身で儀式を任されているエリートなのだ。
 村の巫女マーリアはこの村の出身で、毎年冬の到来と冬の終焉の儀式を行っている。この村で信仰されている冬の女神は魔族「雪狼の戦姫ネージャ」である。ネージャの本体はいまだ封印の中にあるが、封印から漏れてくる影が近くの山に住んでいる。巫女の仕事は、ネージャの鬱憤が溜まらないうちに山から下りてきてもらい、春が近づいたなら山に帰ってもらう*2という儀式を行う事だ。
 さて、祭りが行われるため外部からも人が集まる。その中にいるのが他のPC達。
 狩人のマーカスは、故郷の村をプラージュ教団に滅ぼされた。彼は猟に出ていたため難を逃れたが、村に戻ったら焼け野原になっていたのだ。プラージュは狩猟神信仰ではあるが、無意味に村を滅ぼす事はない。今回の祭りでプラージュの司祭がやってくる事を聞きつけ、彼はこの村に訪れた。なぜプラージュ教団が村を滅ぼしたのか。その真相を知るために。
 盗賊のグラントは元は商人だった。敬愛する兄ジーン、その親友のリチャードに可愛がられ、楽しかった日々。しかし、兄の親友リチャードが兄を殺して行方をくらました。グラントは盗賊に身をやつしつつも兄の仇を追い始めた。そして、兄の仇リチャードが訪れるのではないかと思われる村にやってきた。
 吟遊詩人のブリジットは村長に呼ばれて村にやってきた。冬の女神を送る舞の儀式で曲を奏でるためだ。しかし、ブリジットはその冬の女神である魔族ネージャの血を引いている。そして彼女の横には常に雪狼が付き従っている*3。また、彼女は「自分に相応しい夫が現れる」と感じている。母神様の力が大きく影響する土地だ。きっと母神様が導いてくださるに違いない。
 「緑の猟犬」の結社員ピエール(仮名)は商人を装ってこの村にやってきた。すばらしい山の形だ。この山には間違いなく封印がある。そう確信できる。封印を解き魔族を解放すれば、その恩寵にあずかれるに違いない。目指すは魔族になって不老不死を手に入れる事。そのためにはどんな犠牲も問いはしない。
 各思いを胸にPC達は辺境の村に集まった。

*1:この人はNPC

*2:春から夏になるとネージャの恋人である放浪の魔族が山に訪れるため、それをネタにネージャを諭す

*3:魔法が使えない人間には見えない。霊感のない人に幽霊は見えないってのと同じようなもの