冒険者としての注意点

 今回はTRPG初心者ばかりのセッションという事で、いくつか気になる発言があった。これはプレイングのマナーという点ではなく、冒険者としてだ。で、特に気になった2つを書いておこうと思う。で、その「気になる発言」は以下の通り。

  • 情報を聞き出した後の捕らえたゴブリンを解放しようとする。
  • 倒した蛮族は10匹だったのだが、20匹位倒したと虚偽の報告をしようとした。


 まず「ゴブリン解放」の件。この時の状況は「夜中、村のニワトリ小屋がゴブリンに襲われた。村人が鍬等でゴブリンを威嚇しているところにPC達が到着してゴブリンと戦闘。1匹が降伏したのでゴブリンを捕まえた」という物。一応、ゴブリンから情報を聞き出す時に「情報をしゃべったら逃がしてやる」と言っていた。なので逃がしてやればいいって話が持ち上がったのだ。
 確かに約束しているので通常なら解放してもいい。ゴブリンが1匹程度で再び村に悪さをする事は考え辛いし、他の群れに加わったところで所詮はゴブリン。1匹増えたところで大差ない。それに、ゴブリン1匹だったら野垂れ死ぬ可能性は充分にあるしね。ただ、問題なのは「村人が見ている状況」という事。ここでゴブリンを解放すると村人から文句を言われるのは必至だし、最悪だと村人にPC達が攻撃される。村人程度なら全滅させられるだろうが、それは色々とマズイ。それにゴブリン1匹のために村人を殺すのはあり得ない。まぁ、村人が襲ってくる事はないにしても悪評が立つ事は間違いない。なので、ヒューマニズムを持ち出して逃がしてやるって選択肢は、この状況ではあり得ないのだ。
 ちなみに、洞窟まで道案内させてその後に解放って事も考えられるが、縛り上げたゴブリンを歩かせ、そのロープの端を持って森の中を歩く事は非常に厳しい*1。なので、その案も現実的ではない。村長に引き渡したらという案も出たが、そんな事しても村人にリンチされて殺されるに決まっている。なので、この状況でゴブリンに気遣いながら取る最良の選択は「一撃で頭をかち割るなどで、苦しまない様に殺す」事だ。
 もう一つの「虚偽の報告」について。これは上記に書いた事が全て。
 虚偽の報告はマズイ。まぁ、バレなければ問題ないとも言えるのだが、今回はゴブリンのいた洞窟を確認すれば直ぐにバレる。で、数が合わないと村人が無用の混乱を起こす可能性が高い。そして、混乱の原因を作ったという事で悪評が立つわけだ。
 ちなみに、虚偽の報告自体は「ひよっこって奴等は直ぐホラを吹きやがる」と笑い話で済むから大した事はない。ただし、高レベルになってきてもホラ吹きをしていると、やはり悪評が立つ原因になる。さらに、上手く嘘を突き通せても、今度は自分達の手に負えない仕事が名指しで来る可能性もある*2。なので、無意味な嘘は付かずに正確な報告をする方がいいのだ。
 TRPGは確かに「単なるゲーム」だが、ゲームであってもある程度のリアリティは存在する*3。そしてリアリティを考えると「取るべきではない行動」って物は確かに存在する。今回の点がこのBlogを読んでいる人達の参考になるなら幸いだ。

*1:町中で犬の散歩をするのと同じにしてはいけない。武装した状態で未開地を歩くってだけで重労働だからね。それに、何かに襲われた場合に対処が遅れる。それは致命的だ

*2:他に仕事を抱えているわけでもなく、報酬も妥当なのに指名の仕事を断ると、やはり悪評の原因になる。ホラがまかり通っている場合、仕事を仲介する方は手に負えないなんて思わないからねぇ

*3:リアリティが全くないと何でもアリになるので、プレイヤーの意志決定そのものが無意味になるのだ