B級映画「マレフォルジ」
まずはプロローグ。当然ながら、既にマレフォルジを手に入れたカールが回想するシーンから。
戦艦の艦橋から宇宙を眺めるカール。そして副官のボルバッサ*1。
ボルバッサ「そろそろマレフォルジです、閣下」
カール「うむ」
ボルバッサ「それにしても、我が故郷マレフォルジがあの様になっていたとは、あの時には夢にも思いませんでしたよ」
マレフォルジ侵攻の時に思いを馳せるカール。そして回想が始まる。
まずはルイが小型艇でカールの戦艦に来訪し、カールにマレフォルジの情勢について報告をする。カールはクーデターとレジスタンスの存在を知る。当然ながら、セミオン大佐とフェル大尉が兄弟などという事は報告されない。てか、そこまで調査されていない。そして、フェル大尉に接触を図ろうとしていると報告をして任務に戻るルイ。
一方、マレフォルジの酒場で部下と酒を飲んでいるボルバッサ。酒場のTVにはセミオン大佐の演説が流れている。
ボルバッサ「いけすかねぇ」
その呟きを耳にしたセミオンのシンパとボルバッサ一味の乱闘が始まる。そして憲兵隊が来る音で逃げるボルバッサ一味。当然ながら、ボルバッサと部下達はバラバラに逃げるわけだ。
で、逃げている途中のボルバッサに「こっちだ」と言って匿うフェル大尉。B級映画らしく「悪いな」と言って全く疑わずに匿われるボルバッサ。で、レジスタンスのアジトに連れて行かれ、フェル大尉とボルバッサは意気投合。観客の「疑えよ、ボルバッサ」とか「通報されるって考えないのかよ、フェル大尉」とかってツッコミはスルーだ。
で、ボルバッサが海賊と知ったフェル大尉は、レジスタンス活動に必要な武器を密輸して欲しいとボルバッサに依頼。ボルバッサは「あんたの頼みじゃ断るわけにはいかねぇな」と、1時間ほど前に会ったばかりの男の依頼を受ける。
さて、カールは当然「帝国の海軍」として*2セミオン大佐に歓待される*3。で、何故かその夜にはプライベートで語り合う仲になっているカールとセミオン。ほら、セミオン大佐が語るためには必要必要。B級映画だからそのくらいは当然。
セミオン大佐「クーデターを起こすなどバカな事をしたとお思いでしょう。しかし、この星の政府は腐敗しきっていた。この惑星の人々を救うためにはそれしか道はなかったのです」
そう、熱く語るセミオン。そこには汚名を被ってまで志を貫く男の姿があった。
一方、セミオン大佐がBC兵器を使ったという証拠を掴むルイ。そして、それを手土産にフェル大尉に接触をするルイ。どうやって接触できたか等という謎も全てすっ飛ばす。それがB級映画だ。で、帝国の後ろ盾を得るためにフェル大尉はルイの話に乗る。
さて、武器密輸中のボルバッサ。彼はカールの戦艦に追われていた。
カール「ほぅ、すばしっこい蝿だな」
そして、次のシーンでは捕まっているボルバッサ。で、取り調べという名の拷問を受けているわけだ。
ボルバッサ「武器の密輸?知らねぇなぁ」
拷問吏「これでもまだ吐かないか!」
(スイッチを入れる拷問吏。ボルバッサの椅子に電流が流れる)
ボルバッサ「へっ、そんなんじゃ肩こりも治らねぇぜ」
そこへカール登場。
カール「お前が例の男か」
ボルバッサ「俺は何も知らねぇぜ」
カール「面白い男だ。どうだ、俺の部下にならないか?」
ちなみに、我らがマージシーでは海賊をそのまま配下にして軍備を拡張してきた経緯がある。なので突拍子もないセリフってわけではない。
ボルバッサ「お断りだね」
カール「お前の様な骨のある奴なら大歓迎だぞ。なぁ、少尉」
拷問吏「昔の話は止めましょう、閣下」
はい、拷問吏も元海賊です。
カール「このままではお前を処刑する事になるのだがな」
ボルバッサ「だったらさっさと殺しなよ」
カール「仕方ないか」
そういってボルバッサに銃口を向けるカール。そこへ諜報部員ルイ登場。
ルイ「閣下、それには及びません。この男はボルバッサ、フェル大尉に協力している海賊の指揮官です」
ボルバッサ「何でそれを知ってるんだ!」
今まで口が固かったのは何だったのかというくらいにフェル大尉との関係についての話に反応するボルバッサ。「カマかけとかって考えないのかよ」というツッコミも勿論無視だ。
で、カール率いるマージシー軍がフェル大尉と手を組んだ事を知るボルバッサ。
ボルバッサ「なんだよ、それならそうと早く言ってくれればよかったのに。そういう事なら手を貸さないわけにはいかねぇな」
という事で、ボルバッサも無事仲間となったのであった。ゲラゲラ。
で、フェル大尉のセーフハウスでカールとフェル大尉が会う事に。そして、フェル大尉を見たカール。
カール「セミオン大佐?」
で、セミオン大佐に似た雰囲気があると言われたフェル大尉は
フェル大尉「セミオン大佐、いや、兄は」
とセミオン大佐と兄弟である事を独白し始める。で、
フェル大尉「確かに旧政権は腐敗していましたが、クーデターを起こすなどという事は間違っている。私は弟として兄を正さなくてはならない」
ここにもまた信念に突き進む男がいた。
そしてセミオン大佐について調べているルイ。どうやらセミオン大佐は時々行方知れずになる事があるらしい。それはセーフハウスに籠もっているらしい。という事でセーフハウスを突き止めたルイ。
ルイ「ここは……カール・バルゼー閣下とフェル大尉が会見をしたセーフハウス……」
そんなルイをよそにレジスタンスの攻勢が始まる。しかし、肝心のフェル大尉がいない。という事で、ボルバッサがレジスタンスを率いてセミオン大佐のいる場所へ攻撃を開始する。そして、それを空爆支援するマージシー軍。
空爆支援中のカールへセミオン大佐から通信が入る。
セミオン大佐「どういう事だ、カール」
カール「君の行った事は間違っているよ、セミオン。君は弟と手を取り合ってマレフォルジを正しい方向に導くべきだ。その手助けはマージシーがしよう」
セミオン大佐「しかしそれでは民衆は納得すまい。敗軍の将は散るのが務めだ」
(自分のコメカミに銃を突きつけるセミオン大佐)
セミオン大佐「軍事革命万歳」
(銃声、崩れ落ちるセミオン大佐)
一方、セーフハウスを調査しているルイ。
ルイ「ん?これは」
ルイは、一冊の日記が見付ける。
兵士「閣下、こちらです」
セミオン大佐の死体が安置されている場所へ案内されるカール。
カール「セミオン……」
セミオン大佐のマスクを外すカール。すると、そこには特徴的な傷跡を持つ顔が。
カール「フェル!」
セーフハウスを調査していたルイは見付けた日記を読む。すると、兄の死を受け入れられなかったフェル大尉が無意識に二重人格になっていく様が書かれていた。
この日記をカールの元へ持っていくルイ。それを読んで悲しそうな顔をするカール。
で、エピローグ。宇宙を行く戦艦の艦橋。
ボルバッサ「この事は誰にもしゃべらず墓まで持っていくつもりです」
カール「賢明だな」
艦橋からマレフォルジを見つめるカール。
カール「セミオン、フェル。因果なものだな」
そして、どう見ても地球にしか見えないマレフォルジをバックにスタッフロールが始まる。
ちなみに、スタッフロールが終わるともう1シーン。机に置かれた日記と、その側に立てかけてある写真立て。そこには仲良く写っているセミオン大佐とフェル大尉の姿があった。