一財産だな

 2年前に亡くなった俺の父親は「機械マニア」だった。クラシックが好きだったのでオーディオ機器にカネを使うのは分かるのだが*1、ビデオデッキとかも好きだった。ベータのビデオデッキが1台数十万円もした時代*2に業者でもないくせに2台あってダビングとかやっていたから相当なマニアだと思う。
 で、そんな「金をかけたらキリがない趣味」をやっていた父親がもう一つハマっていたのがカメラだった。デジカメなんかでは当然なく、一眼レフのフィルム感光って奴だ。特にライカ製が好きだったみたい。でだ、そんなカメラだけでも幾つもあって三脚とかレンズとかを合わせたら相当な量があった。
 そして先日、そんなカメラ群を業者に買い取ってもらうと母親が言ってきた。俺がカメラを趣味にしていればそのまま使っていたんだが、残念ながら俺はカメラについては全くの無知。それに、カメラの世界はこれまた奥が深いので、そんな途方もない趣味の世界に今から手を出す気にもなれず。まぁ、デジカメ位は貰ってもいいんだが、ライカの一眼レフを云々って気はちょっとね。
 という事で、俺も「こういう物は使わない遺族が持っているよりも、価値を分かって使う人の元に渡る方がいい」と思って売却に同意した。買取業者も、母親の知り合いのカメラ好きが紹介してくれた買取歴40年のプロなので、安心して任せられるんじゃないかと思ったしね*3
 で、こんなやり取りが。


母親「査定額の連絡来たよ」
俺「いくら位になった?」
母親「50万円位」
俺「……買取額でそれか。いくら使ってたんだろう?」


 いやまぁ、ライカのカメラって人気があるって話は聞いた事があるし、ドライ・ケースとかいう物*4に入れたままで、しかも電源を抜かなかったのが良かったんだと思うけどさ。でも、50万円なんて下手するとそれだけで遺産総額だったりする家とかもあるからなぁ。
 そして、こんな会話も


母親「スーパーの袋に入れて渡したカメラが結構いいものだったらしいよ」
俺「そんな扱い方はさすがにどうかと思う」


 いくらカメラの事を知らないとはいえ、スーパーの袋に詰めて業者に渡すのは「ない」よな。それくらい知識のない俺でも分かるんだが、どうやら俺の母親には「あり」だったようだ。無知って怖い。
 あれ?そう言えば俺にその金の半分を渡すとかって話は出てなかったな。おや?もしかしてそこで母親と相続争いが始まるのだろうか(笑)。

*1:実家にはオープンリールとかもある

*2:今の数十万円ではなく昔の数十万円なので、今に換算するといくら位になるんだろう?

*3:どこぞの大手量販店の買取なんてデジカメ以外のカメラの知識は素人に毛が生えたくらいなので、マニア垂涎の物でも二束三文でしか引き取らない

*4:黴等が繁殖しないように乾燥した状態を保つケース