儀式本番

 そして、儀式が始まる。
 儀式は、巫女が舞い、吟遊詩人が曲を奏でる間、胃袋様達が4の膳までを食べるという物。また、胃袋様と一緒に中央から派遣された司祭も4の膳まで食べなくてはいけない。


司祭ジェロード「毎年、若くて元気なヤツが派遣されるのはこのためか」


 「飢え」を減らすために頑張る狩人マーカス。「飢え」を増大させるために頑張る「緑の猟犬」ピエール。楽曲を奏でながらピエールに熱い視線を送る吟遊詩人ブリジット。とばっちりを食う司祭ジェロード。ちなみに盗賊グラントは、ピエールこと兄の仇リチャードを殺すためにジェロードの膳に盛られた食い物をリチャードの膳に移したりしていた。
 そして1の膳と2の膳を平らげたPC達*1。マーカスは着実に「飢え」を減らし、ピエールことリチャードは着実に「飢え」を増やしていた。
 さて、3の膳を平らげた時にGMがこう言った。


GM「意志力判定に成功すれば『飢え』を1点増減できるよ。失敗すると1点増えるけど」


 ん?俺は「意志力判定に失敗したら現状維持」だと思っていたが、「飢え」が増えるだって?すかさず確認。


俺「それって、判定に大失敗したら2点増えますか?」
GM「増えるんじゃね?」


 なるほど。


我がPCピエールことリチャードよ、寿命を削れ!


 はい、推定寿命を削って「判定を大失敗にする」を買うですよ。これで「飢え」が2点ずつ増えるじゃないですか。ステキ!どうせ魔族になったら寿命なんて関係ないしね。
 4の膳は牛の内臓が生で出てきた*2。他の胃袋様はギブアップ状態なのだが、ピエールと名乗っていたリチャードは寿命を削りながら山盛り生モツを完食。そして、意志力判定で再び大失敗を買い、「飢え」を2点増やす。結果、4の膳を食い終わった時点で


「縁故:飢え(9点)」!


 「縁故」は1点で「お気に入り」レベル。3点で「友達」レベル。5点で「自分と同じ位大切」レベル。6点だと「偏愛や依存症等の異常状態」である。それが9点。多分このレベルの飢えだと、


「咀嚼できる柔らかい物は全て食う。なくなったら食べる物を探して放浪する。それでも食べるものがなかったら自分を食べ始める。食べる物があるなら、例え命の危険が迫っていても迷わず食べ続ける」


って感じなんじゃないか?少なくとも人間が抱える「飢え」のレベルではない。
 さて、ピエールことリチャードの食いっぷりを見ていた人々は、司祭や巫女のみならず一般の村人達も


「このままにしておいたらヤバイ」


と思い始める。そして、巫女マーリアがこう告げる。


「山へお帰りください」


 さて、PCもプレイヤーもこのまま山に入って魔族になるのは大歓迎だ。しかし、抱えている「飢え」が暴走する可能性がある。なので意志判定を求められる。
 正直、プレイヤーの俺は意志判定を失敗して暴れてバッドエンドもありかなぁとは思いはした。これは「深淵」だし、「深淵」はバッドエンドである事が普通だし。しかし、バッドエンドにするとセッション時間が延びる。時間の押している時にそれはマズかろう。それに、このまま暴れたら「狂った超食いしん坊の人間」で死ぬしかない。やっぱり、自分のPCが自分の意志で魔族になるってんなら魔族にさせてみたいじゃない。
 って事で、「もう寿命なんて関係ないし」と寿命を削って意志力判定に成功する。こうして「飢え」の暴走を押さえたピエールことリチャードは山に登り、魔族ネージャの飢えを担う者として彼女の眷属になる道を歩む事にした。

*1:NPCの胃袋様は既にダウン

*2:元々「狼の飢え」なのでね