クトゥルフ

 今日はTRPGサークル「ギルドマスター」の例会の日。そして、今日やったのは「クトゥルフ神話TRPG」。大正時代*1を扱った同人シナリオを使用し、探索者は以下の通り。

駒蔦堂士葉(こまつだ・どうしよう)
プレイヤーはGOKUDOU氏。23歳男性。刑事。ある村の名家の長男失踪事件の調査のために村に向かう。
滝沢結花(たきざわ・ゆか)
プレイヤーはW氏。26歳女性。修道女。村に赴任したばかりのシスター。
藤村進之介(ふじむら・しんのすけ
プレイヤーは俺。19歳男性。学生*2関東大震災で両親と家を失ったところに両親の実家から遺産相続の話が舞い込み、村へ。


 え〜、結論から言うと


酷いシナリオ


だった。ちなみに、シナリオ名は「雛菊の咲く丘で」というらしい。同人物のタイトルを書いて叩くのもどうかと思ったが、酷いシナリオのセッション犠牲者を増やさないためにもあえて書いておく。
 このシナリオの最も良くない所は「探索者が何をやっても分岐が発生しない」という事。典型的な一本道シナリオで、ただただ事件に巻き込まれていくだけ。そして、起こる事件は不可避なのでどうする事もできない。一本道シナリオを組む事自体は俺もやる事はある。だが、一本道シナリオを組む場合は、あたかも「プレイヤーの選択の結果そのような事が起こったと錯覚させる」という作りにしないとダメだ*3。しかし、このシナリオはそれが全くできていないのでプレイヤーは徒労感を感じる。
 他の良くない所は「プレイヤーにストレスを与えたまま終わる」って事だ。事件の真相に関わる情報を持っているNPCは何人か出てくる。その人物をどんなに揺さぶっても真相部分の情報は開示されない。そして、情報開示がされないままNPCが死んでいく。「クトゥルフ」のシナリオで大切なのは「徐々に真相を知って危険をジワジワ感じさせる」という事。しかし、情報開示が全くないので危険を感じる事が皆無だ。せいぜい不自然な村人の死に疑問を持つ程度。で、真相に辿り着くルートがないらしいので「一体どうなってんだ?」というストレスが残ったまま最後までシナリオが進む。
 他にも色々良くない所があるのだが、それを総合すると「不要なギミックが多過ぎる」に集約される。刑事枠*4の探索者が村に来る理由である「名家の長男失踪」は、村に来る理由を作るためだけのギミックでしかない。せっかく失踪事件なんて設定を付けるんだからシナリオに絡めないとダメだろ。他にも、1年中雛菊の咲く場所がある*5のだが、それがシナリオに全く絡まない。「1年中咲く」という所でシナリオ本編に絡めないとギミックの持ち腐れだ。あとは無駄に出てくる「双子の姉妹」。外見上区別がつかないという設定なので「入れ替わり」という古典的手法を取り入れる事ができるのだが、そんな事も起こらない。なので、双子である必要はないし、姉妹である必要も全くない。確かに無駄なギミックを付与してミスリードを誘うというシナリオの作り方もあるが、このシナリオはただただ「無駄なギミック」でしかない。
 とまぁ、こんな感じで久し振りに酷いシナリオにプレイヤーとして参加したよ*6。もっとも俺は丁度今「クトゥルフ」の自作シナリオを作ってるところなので、反面教師として「シナリオ作りで何をするとダメになるか」が再認識できたから収穫ゼロではなかったかな。

*1:携帯電話がなくPCをネットに繋ぐなんて事もできず陸の孤島はできやすい、クトゥルフ的に美味しい時代

*2:職業的には「教授」を使用して作成

*3:「選択肢のどれを選んでも同じ結果になるが、選択肢は作る」って感じでね

*4:このシナリオはF.E.A.R.ゲーのハンドアウトみたいな物があり、基本的に探索者の職業は固定されている

*5:当然ながら、普通は雛菊が1年中咲く事などない

*6:GMとしては5/23の「アルシャードガイア」で酷いシナリオをやった。この時は「酷いシナリオに見えるが、F.E.A.R.ゲーのギミックを使えばまともに回る可能性も」と思って使ったら予想通りのダメなままで終わった